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下穴寸法の決め方

​ここでは、樹脂用タッピンねじとタップタイト®用下穴とボスの設計について弊社の

推奨デザインを説明します。

<下穴径について>

一般的に樹脂用タッピンねじやタップタイト®用の下穴径は、ねじの外径の80%から

90%が望ましいと言われてます。

例、φ3.0×6.0の樹脂用タッピンねじを締める場合

  下穴径φ2.4=φ3.0×0.80(80%)

​ただし、この数値はあくまで参考値で、

  • 使用するタッピンねじやタップタイト®の種類

  • 相手物(締結物)の材質

  • ねじの有効長さ(かかりしろ)

  • ボスの抜き勾配

によって変わります。

お使いのタッピンねじ、タップタイト®の推奨下穴径がいくつかは下記サイトをご参照

ください。

タッピンねじ

https://www.tsurugacorp.co.jp/nejilog/02/03.html

 

タップタイト®

https://wilco.jp/docs/technical-data/tec_10.html

これらサイトに載っている推奨下穴径はSPCC材やPBT、POM材などが対象となって

います。 昨今では、ガラス○%など強度の高い樹脂材が増えており、強度の高い

樹脂材にはなるべく下穴を小さめに設計した方がよいと言われています。

これらのサイトを基に設計した下穴寸法で実際の締付け条件でトルク試験を行い、

その結果でその材料に適正な下穴寸法がいくつなのかご判断いただくのがいいと思います。

<入り口形状について>

下穴の入り口は、皿状(C面)か以下のイラストのように呼び込み穴を設けることを推奨しています。理由としては、ねじが締まりきった際、変形した相手物(締結物)が上面にせり上がり、皿状または呼び込み穴がないとこのせり上がりにより相手物と被締結物との間に隙間が出来てしまう可能性があるからです。 

DELTA PT⑧.png

呼び込み穴

DELTA PT⑦.png

​変形した相手物がせり上がる

<ボス外径について>

​ボスの外径は、ねじ外径の2倍以上が望ましいとされています。

※ただし、ヒケの問題等もありますので太すぎても問題があります

​また、丸形状のタッピンねじに比べおむすび形状のタップタイト®は、ねじ込む時の

トルクが低いことがメリットですが、以下のように外側への応力が大きい為、外径が

小さいとボス割れ​が発生しやすい点に注意が必要です。

※アクリルにタッピンねじと同じ丸形状のDELTA PTとおむすび形状の

 タップタイト®を締めた際のプリズム比較

DELTA PT⑨.png

​丸形状

DELTA PT⑩.png

おむすび形状

<ボス下穴深さについて>

​ねじは、「3山以上ないとねじとして機能しない」というのをよく耳にします。

しかし、その根拠を訊いても誰も答えられないのが実情ではないでしょうか。

「ねじの先端は2山程度不完全ねじ部なので、3山以上ナットから出す」というのが

誤って伝わったのではないかという一説もあります。

ねじメーカーでありながら、弊社でも「3山以上」の根拠を試験して確認したことは

なく、ユーザー様によっては締付条件上どうしても3山確保できないとの理由で1.5山や

2山のねじをお使いのところもございます。

ただし、ねじ山数が少ないとどうしても第1ねじ山(相手物座面近辺)にかかる荷重が

​大きくなり、樹脂などの柔らかい材料では雌ねじ破壊の原因になりかねません。

色々な説はありますが、弊社の実績​から言うと、ねじ山を増やすことでトラブルが

改善されたケースは多々ございます。

​本当に3山ないと機能しないか分かりませんが、ボスの下穴深さを決める際は、

  • ねじ有効長さ(かかりしろ)

  • 先端不完全ねじ部長さ

  • 先端ガイド長さ ※荒先の際は不要

  • 上記入口形状

を考慮し、且つ引き抜き強さ及び破壊トルク(雌ねじ破壊時のトルク)が十分確保出来る設計を推奨いたします。

<トルクアナライザーを使った試験のすすめ>

トルクアナライザーを使って試験を行うことで下穴寸法が適正かどうかも判断することが出来ます。

​M4.0以下のねじの下穴寸法の設定でお困りでしたらぜひご相談ください。

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