ねじがなめる

十字ねじを締めたことがある人なら誰しも

このようになめてしまった経験があるのでは

ないでしょうか。

意外と知られていませんが、十字ねじは意図的に

なめるよう設計されているのです。

十字ねじの歴史は意外にも浅く、今から85年前の

1935年頃にアメリカで誕生しました。

その当時は今のようにトルク管理の精度が高い

締結工具が存在しなかった為、ねじを締めるとドライバービットが折れてしまった

そうで、それを防ぐ為にトルクがかかり過ぎるとドライバービットが上に逃げて

ドライバービットが折れるのを防ぐよう意図的に設計されたのが十字ねじなのです。

しかし、トルク管理の精度が高い締結工具がある現代では、逆にその機能が邪魔を

してしまっています。

JIS規格品のようにある程度十字穴の深さを確保できるものは簡単にはなめません。

しかし、以下の条件があてはまった時にねじがなめやすくなります。

  • 規格外のねじ

​  精密ねじのように小さいねじに多いのですが、頭部の高さが0.2mmなど

  非常に薄いねじの場合、駆動面積(ねじとドライバービットとの接地面積)が

  小さい為、なめやすくなります。

  • 過剰締付けトルク

​  そのねじにあった適正締付けトルクで締めないとねじがなめたり、ドライバービット

  が折れたりします。

  • 摩耗したドライバービット

​  ドライバービットの交換時期を管理していないユーザーが結構多くいます。

  組立現場を拝見すると、よく「ガガガッ」とねじをなめている音が聞こえてきます。

  ドライバービットも金属で出来ているので繰返しねじを締めることで摩耗したり

  金属疲労で折れたりしますので定期的な交換が必要です。

  よく「ドライバービットはどれぐらいの頻度で交換が必要ですか?」というご質問

  をいただきますが、締付けトルクなどの条件により異なる為、どこのドライバー

  ビットメーカーも答えられないのが実情です。

  ドライバービットを交換してから何日目で折れるか観察したり、もしスクリュー

  カウンターを組立現場で導入されているところは、ねじを何本締めてビットが

  折れるか観察して交換時期を設定いただくことをおすすめします。

  また、意外に見落としがちですが、いったんねじをなめるとドライバービットの

  駆動部分が変形し、よりなめやすくなります。

  一度ねじをなめてしまったら、ねじだけでなく使ったドライバービットも交換

  するようにしましょう。

  • 荷重不足

​  上記のとおり、十字はドライバービットが上に浮き上がるよう設計されています。

  その為、ある一定の荷重を加える必要があります。

  作業者がドライバーを手で持って締め付けるのであればいいのですが、自動機で

  締め付ける場合、

  (i) 締付け箇所により荷重があまりかけられない

  (ii)自動機につけたドライバーの下ろすスピードがねじの締まるスピードについて

   いっていない

  といったことが理由でねじをなめているケースもよく耳にします。

​それぞれの対策は以下のとおりです。

  • 規格外のねじ

​  (a)ねじのスペックを見直す

  (b)ねじの強度を見直す

​  降矢技研のTDL-3を使う

  例、SWCH材のねじ表面硬度は一般的にHV450-600程度ですが、

    降矢技研の高強度材はHV600-750程度にすることが出来ます。

  • 過剰締付けトルク

  (a)トルクアナライザーを使って適正締付けトルクを再考する

       トルク試験のご依頼はこちら

  • 摩耗したドライバービット

  (a)定期的なビット交換及びねじをなめた際のビット交換

  • 荷重不足

  (a)推力を十字ねじほど必要としないタイプのねじの駆動部に変更する

  (b)ねじの締まる速度を再計算する

例、

ネジ種類:M3ネジ
ピッチ:0.5mm
ネジ長さ:6mm
ドライバー回転速度:2000rpm

この時、締め付け方向へのネジの移動速度は、

0.5mm × 2000回/分 = 1m/分

ねじなめ対策の具体的なご相談はこちらのお問合せボタンをクリックいただき、

ご連絡ください。

トルクアナライザー①.png